幕末 本と写真

蔵書紹介系 幕末維新探究ブログ

伊藤俊輔の名刺判写真


若き伊藤博文の肖像写真。
幕末明治を代表する写真師内田九一がそのキャリアの前半に横浜の写場で撮影したものである。古写真研究家・高橋信一氏による最新の研究によれば明治2年の5月から6月にかけての撮影が有力であるらしい。
港区立港郷土資料館の井関コレクションの同じ写真が諸書に掲載されているので、伊藤の肖像の中でも大変有名な一枚となっている。
私が古書店から購ったこの写真、鶏卵紙に焼き付けられた像自体は非常にくっきりしていて美しい。しかし残念なことに台紙の天地が無残にも切断され縦寸が短くなってしまっている。
当時の名刺判写真は台紙ごと差し込むようなアルバムに収まっていることが一般的なのだが、おそらくそこから取り出すのに面倒だったのか、アルバムから抜き出さずに乱暴にも切り抜いてしまったのだろう。
古写真を研究する上で台紙というのも大変重要な資料になるので、このコンディションはいかにも惜しい。