幕末 本と写真

蔵書紹介系 幕末維新探究ブログ

松平惟太郎『私の追憶集 梅井はん』

松平惟太郎『私の追憶集 梅井はん』(拓牧社、1985)

欲しかった『梅井はん』をよくやく手に入れることが出来た。

埼玉の川越に大正時代に建てられた蔦の絡まる煉瓦造の風情のある教会があるのだが、著者はその川越キリスト教会の司祭を長年にわたり務めていた人物。随筆集だ。

なぜこの本を求めていたかというと、著者の祖父にあたる人物が直参旗本で遊撃隊の第五軍隊長として伊庭八郎や人見勝太郎などと一緒に戊辰戦争を戦った山高硏三郎であるためだ。この本には、著者が祖父の面影を回想した「生き残った幕末遊撃隊長」という文章が入っている。

戊辰の戦いを荘内鶴岡で降伏した山高硏三郎は、謹慎の後荘内藩家老松権十郎の知遇を得てその義弟となり、松平信任と改名する。
後半生を山形県の地方官吏として静かに終えた。好々爺となった晩年は孫たちに若き日の武勇譚を聴かせるのが楽しみだったという。大正八年没、77歳。