私は古写真をぽつぽつ蒐めている。その貧弱なコレクションを開陳するのは恥ずかしくて大いに躊躇われるのだが、それでも勇気を振り絞ってこのウェブログでも所有する古写真を紹介することもある。
古写真コレクターの大先達、巨星たる石黒敬七。その万分の一でもコレクションの質を高めたいと思わないではないが、現状は遠い夢である。
石黒敬七『蚤の市』(岡倉書房、昭和10年)。
装画・装丁は藤田嗣治!パリに集まった当時の日本人の姿を面白おかしくレポートする。
函ナシ、背に痛みもあり、保存状態はよくない。 しかし、まさかの680円でゲット。
表紙、扉絵が藤田嗣治。パリの情景を描いた函(あれば!)と口絵が佐分眞。さらに口絵に伊原宇三郎。「序」は作家・久米正雄。さらに「序文」が藤田嗣治。
石黒旦那の第一エッセー集のために友情出演の揃いぶみ、なんと豪華な顔ぶれ。
この本、手に取って眺めまわすだけでニヤケてくる。幸福だ。
『蚤の市』の一年後に出版されたのが右の『巴里雀』(雄風館書房、昭和11年)。装画は宮田重雄。石黒旦那のパリでの古写真収集譚を収める。
無念、これも函ナシ。ちなみに書名を『パリジャン』と読むのが通とのこと(ご子息の石黒敬章さんにお聞きしたことがある)。