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幕末 本と写真

蔵書紹介系 幕末維新探究ブログ

西郷隆盛の肖像

古写真 古書 薩摩藩

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再来年の大河ドラマ西郷隆盛に内定したということを知った。

まだ先のことなのでだいぶ気が早いかもしれないが、しばらくしたら大河ドラマ需要で洪水のように西郷隆盛に関する書籍が出版されるだろう。
 
その出版ラッシュの際には、ぜひ再版してほしい本がある。
山下洋輔の『ドバラダ門』と『ドバラダ乱入帖』である。
山下洋輔の曽祖父は山下房親である。初代警視総監の川路利良とともに近代警察組織を立ち上げ、鍛冶橋監獄で典獄(刑務所長)を務めた人物だ。その子の啓次郎はいわゆる「明治の五大監獄」を造った建築家であった。
山下洋輔の自らのルーツをたどるこの2作は薩摩の維新史を描くことにもなっている。
 
まず『ドバラダ門』(新潮社、1990)は山下洋輔の文筆業の最高傑作、あるいは奇書として名高い作品だ。
 
発端は山下啓次郎が設計した鹿児島刑務所の門だった。
amazonの説明を抜き出してみよう。
 
「門を作った張本人、その名は山下啓次郎。おーまいごっど、オレのじいさんが建築家だと。ルーツ探しに旅行けば、出るぞ鹿児島、やっぱり西郷。山下清も乱入し、時空を越えた大騒ぎ。官軍、逆賊を叩っ斬れば、洋輔、ピアノを叩っ弾く。門を壊しちゃならねえと、反対門前コンサート。住民一気に盛り上がり、かつぎ出されたピアニスト―。日本文壇をしゃばどびと震撼させた奇著を読め」
 
つづく『ドバラダ乱入帖』(集英社文庫、1997)は床次正精の描いた西郷隆盛の肖像に山下房親が制作に深く関わったことがテーマとなる。
こちらもamazonの説明文を引用する。
 
「かの『ドバラダ門』から3年余…。西郷隆盛肖像画をめぐって、新しい展開が…。作者未詳の西郷像と、著者の曾祖父・山下房親とが、深く係わっていることが判明。たちまち天才ピアニスト洋輔は演奏活動の合間をぬって、東奔西走。肖像画の謎を追跡!ついに百年前に生きていた、先祖の目と脳と体を通して、実在の西郷が蘇ったのだ。華麗なる先祖の活躍を背景に描く痛快エッセイ」
 
『ドバラダ乱入帖』の主題であり、文庫本の表紙にも使われている西郷隆盛肖像画を掲げてみる。写真にして頒布したものだ。
若かりし頃に東郷神社の骨董市で手に入れた。
台紙の裏に印刷された肖像の制作に関わった西郷従道黒田清隆、床次正精、そして山下房親の名前を確認していただきたい。写真の存在しない西郷の面影の再現は遺された彼ら薩摩人の悲願だったのだ。
 

 『ドバラダ門』『ドバラダ乱入帖』の2作は山下洋輔という巨星が西郷隆盛をも巻き込んで奏したジャムセッションなのだ。

再版、復刊を熱望する。