幕末 本と写真

蔵書紹介系 幕末維新探究ブログ

鶴ヶ城本丸御殿の写真

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会津若松鶴ヶ城の古写真の中でも、天守と本丸御殿が写っているものがある。会津若松市教育委員会の所蔵写真で諸書に掲載されているが例えば『保存版 古写真で見る失われた城』(世界文化社、2000)で見ることができる。どの本も同じ画角での掲載なので、教育委員会の所蔵品はその範囲でトリミングされたものなのかもしれない。(下の写真)
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戊辰の戦火をかいくぐりながら明治7年に862円余で払い下げられたあと取り壊された鶴ヶ城の御殿建築を見ることができる貴重な写真である。
城の南東から北西を望み、藩の政庁たる本丸御殿の小書院と大書院が手前に写る。奥に傷ついた天守がそびえる。
全国の城郭古写真の中でも御殿建築が写り込むものはそう数が多くはなく、その意味では建築資料的にも価値がある写真と考える。それ以上に私のような幕末好きには会津藩の政治機構の中心であるこの本丸御殿で同藩の命運が決まっていったかと思うと深い感慨を覚える。

さて、その同じ写真ながら会津若松市教育委員会所蔵のものよりも広い範囲が写る写真を見つけた。沖津旭『武士の華』(素人堂、明治42年)という本に載る写真である。網がかかった印刷で解像度も悪いのが惜しいのだが、いままで知られるものよりだいぶ広い範囲で本丸御殿の建物が写っている。より資料的価値が高い写真だと思う。
右から小書院、大書院、一番左に大広間の一部も写る。天守は御殿建築の奥、像の真ん中に収まる。