幕末 本と写真

蔵書紹介系 幕末維新探究ブログ

2016-12-01から1ヶ月間の記事一覧

井野左近春房

井野左近春房 慶応元年大坂心斎橋の中川信輔の写場で撮られた肖像写真。 井野家は三河以来の譜代の幕臣。 左近は小十人格、歩兵指図役頭取を勤めたという。江川塾で砲術、講武所で洋式調練を学ぶ。幕府の陸軍人として慶応年間は将軍上洛にあわせて京都大坂へ…

ぐろりあ・そさえて版でいこう!アメリカ彦蔵

『開国逸史 アメリカ彦蔵自叙伝』(ぐろりあ・そさえて社、昭和7年) アメリカ彦蔵の自叙伝は最初英文で書かれ『 Narrative』(ナラティブ)と題され丸善から明治25〜28年に上下2巻で出版された。邦訳は、先ずは上巻の方を土方久徴が訳して『漂流異譚開国之…

岩瀬忠震に関する本

岩瀬忠震には中公新書の松岡英夫『岩瀬忠震』(昭和56年)の他に単書のしっかりした伝記が編まれていない。白鬚神社にある岩瀬鷗處君之墓碑は岩瀬の顕彰碑になっているが、開国の恩人にして幕臣中屈指の才子に相応しい紙碑(伝記本)が新たに編まれることを…

岩瀬忠震

岩瀬忠震には写真が残っている。 英国にあるヴィクトリア&アルバート博物館所蔵のものだ。安政5年、日英修好通商条約交渉の英国側の使節エルギン卿の秘書であったウィリアム・ナッサウ・ジョスリンが撮影した幕府側交渉委員7人の中にその姿が収まっている。…

松平春嶽

今回も幸田露伴の「幕末の政治家」から。 松平春嶽です。思案顔、愁い顔で威厳がなく気魄も薄い…。 〈松平春嶽 門地は高き人なれど威やや乏しく、身の丈は普通、やせ形にて面の色青白く、殿様らしくも見ゆれど、俗にいふ思案顔または愁ひ顔ともいふべき歟、…

大久保一翁

幸田露伴の「幕末の政治家」から、今回は大久保一翁の印象記を抜き出してみる。 錆びた声で物静かに語り、光輝く目をしていた。雰囲気のあるシブい大人であったのだろう。 〈大久保越中守 顔の構へ立派にて容儀好く、俗にグリ眼といふ眼にて、其ぎらぎらと光…

箕作麟祥

『露伴全集』第5巻(岩波書房、1951年)に「幕末の政治家」が収められている。幸田露伴が明治30年に発表したもの。焚くとその煙の中に死んだ者の姿が現れるという伝説上のお香・反魂香を用いるという体で幕末の大名や幕臣の容姿、人となりを紹介する興味深い…

熊谷勤吾

日田にあった西国筋郡代。幕末最後の郡代を勤めたのが窪田治部右衛門鎮勝であった。元治元年から慶応4年の肥後落(郡代の逃亡)までの5年間にわたり九州の幕府領を統治してきた。私は窪田治部右衛門のことは幕臣の中でも存在感のある注目すべき人物だと思っ…